丸子船は、一枚一枚木を丁寧に継ぎ合わせて組み立てられます。継ぎ目はきっちりと合わされ、見た目には隙間はほとんどありません。しかし、それでも水は継ぎ目から染み込んできます。これを防ぐ防水処理には「槙縄」と「銅版」が使われました。槙縄は、材木として使用した槙の木の内皮を、蒸してほぐしたもので、竹のへらで丁寧に継ぎ目に詰め込み、その上から油でといた墨を塗った銅版を貼り付けました。「ダテカスガイ」は本来、接合材(鎹)としての役目を持っていたようですが、丸子船の構造が完成してくる頃には、いわゆる「伊達」となっていたようです。ともあれ、ダテカスガイはオモギカサギと共に、丸子船の大きな特徴のひとつとなっています。

「神與丸」のダテカスガイ 「琵琶湖博物館の丸子船」のダテカスガイ

槙縄(琵琶湖博物館蔵) 槙縄が詰められた継ぎ目


 さて、この「ダテカスガイ」ですが、実は近年でもしっかり「伊達」としての役割を務めています。すでに琵琶湖では木造船は見られなくなりましたが、FRP製の漁船には舳先に「ダテカスガイ模様」を描いたものがあります。これこそ「琵琶湖の船」と言わんばかりの主張ではないでしょうか。琵琶湖に生きてきた人々の丸子船への思い入れは、本当に奥深いものがあります。


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北淡海・丸子船の館
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